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投稿日 | 2021 年 10 月 26日

電子契約の法的有効性、電子署名法とは

電子契約サービスを導入するにあたり、「電子契約で締結した文書は、法的に有効なのか?」という疑問をお持ちの方がいるかと思います。

本記事では、電子契約の法的有効性、関連する法律である電子署名法に関して解説いたします。

  

    1.そもそも契約書は必要なのか?

契約は本来、当事者の合意(一方が申込み他方がこれを受諾)があれば、口頭や書面など締結方法は問わず成立するものとされています。つまり必ず契約内容を書面(契約書等)にして、これに署名・押印をしなければ、契約が成立しないと云うことではありません。
※一部、書面(契約書等)の作成が契約の成立要件となっているものや、法律で契約の書面化を強く要請しているものも存在します。

しかし、企業間の契約において訴訟問題が起きた場合の証拠として、また税法などの各種法令の要請から、「署名または捺印のある書面」を用いて合意し、契約当事者双方が税法の求める期間、紙で保管することが必須とされてきました。

  

    2.電子署名法は何を定めた法律なのか?

電子署名法は、「電子署名」が署名や押印と同等の法的効力を持つことを定めた法律です。
つまり、上記1で記載をした訴訟問題等になった際のことを鑑み、注意が必要な法律が電子署名法です。

電子署名法2条で「電子署名」という言葉が定義されており、3条で法律上の推定効を得るための要件を定めております。

  

    3.電子署名法2条の要件

それでは2でご紹介をした、電子署名法2条の要件に関して解説いたします。

「電子署名」の定義が、2条1項に記載されております。
簡単に言いますと、「本人性」担保のための措置と「非改竄性」担保のための措置を満たす措置が施されていれば、「電子署名」として扱うということです。

2条1項
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

従来、当事者型署名は電子署名に該当するが、立会人型署名が該当するのかが疑問視されておりました。
※当事者型署名/立会人型署名に関してはこちらをご確認下さい。

この点について、総務省・法務省・経済産業省は、令和2年7月17日付けで「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」にて見解を公表しました。

簡潔に内容をご紹介しますと、下記を満たしていれば全体をひとつの措置と捉えることで、利用者が電子署名法2条1項所定の当該措置を行った者とすることができるというのです。
第1に、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在することなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されていること、
第2に、利用者自身がサービス提供事業者に自己の情報や日時等の付随情報を提供していることを確認できること
つまり立会人型署名でも電子署名法上の「電子署名」と評価し得ると言っているのです。

  

    4.電子署名法3条の要件

電子署名法2条の要件を満たせば、直ちにハンコやペンによる署名と同様の効力が得られるのかというと、そうではありません。実は電子署名が2条の要件を満たすだけでは、契約のエビデンスとしては不十分なのです。
同等の推定効を得るためには、併せて3条の要件も満たしていなければいけません。では電子署名法3条の定める要件とは何かを次に説明します。

3条 
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

立会人型の方法でも電子署名法3条の推定力があるとしたのが、令和2年9月4日に同じく総務省・法務省・経済産業省が発表した「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A (電子署名法第3条関係)」です。

Q&Aは、電子署名が契約の推定力を有するには、2条の要件を備えることに加え、さらに3条の要件が加重されているといいます。3条が加重する要件は、括弧書き「これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る」です。この「本人だけが行うことができる」という要件を「固有性の要件」と呼びます。
ハンコが契約の成立を推定させるのは、誰もがハンコを厳重に管理しており、本人だけが押印できるからです。電子署名がハンコと同じになるのは「本人だけが行うことができる」措置が取られていること、つまり「固有性の要件」を満たしていることが条件なのです。

この意味についてQ&Aは、①利用者とサービス提供事業者の間で行われるプロセス、②サービス提供事業者内部のプロセス、のいずれにおいても、十分な水準の固有性が満たされることが必要であるとしています。

そして、最終的には裁判所の判断に委ねられる事柄としながらも、立会人型署名であっても、固有性要件を満たすことで推定効が得られると述べ、それを満たす具体例として、スマートフォンへのSMS送信などにより2要素認証を経て電子署名を行うものを例示しています。

ちなみにAdobe Signでは携帯電話へワンタイム・パスワードをSMS送信するという2要素認証の仕組みを設けており、これを利用することで電子署名法第3条の適用が認められるように解することもできます。

  

    5.まとめ

本記事では、電子契約の法的有効性とこれを担保する電子署名法について解説しました。

もちろん、当事者型署名の利用や二要素認証による立会人型署名の運用をしていたからといって、(裁判等になった際)契約が必ず有効になるというものではありません。あくまで法律上の推定効が働くということです。

これは書面契約の場合も、「ハンコが盗まれており、代表が押印したものではない」と言われた場合も同様かと思います。
結局は様々なエビデンスを日ごろからコツコツと積み上げることができるシステムの導入と運用が重要となります。

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