発注書・請書の電子帳簿保存法対応は必要?対応必須のケースや具体的な方法を解説
発注書・請書の電子帳簿保存法対応は必要?
対応必須のケースや具体的な方法を解説
※2024年6月更新
1.はじめに
2024年1月1日より、電子帳簿保存法 電子保存の宥恕期間が明け、対応が必須になります。
発注書・請書はどのように保存すれば良いか知りたい方もいるでしょう。
本記事では、発注書・請書で電子帳簿保存法対応が必要なケースや要件、対応方法などについて解説します。
2.発注書・請書で電子帳簿保存法対応が必要なケース
電子帳簿保存法と一言でいっても、保存の要件は以下の3つにわかれます。
・ データ保存
・ スキャナ保存
・ 電子保存
上記のうち、2024年1月1日より対応が必須になったのは「電子保存」のみです。
ちなみに、データで受け渡しをした文章が電子保存の対応となり、具体的には以下の方法で送受信した発注書・請書は、電子帳簿保存法の要件を守りデータにて保存する必要があります。
・Webサイトなどからダウンロードした場合
・電子メールで送受信した場合
・EDI取引などを利用した場合
・電子契約システムを利用した場合 など
郵送など紙で発注書・請書の取り交わしをした場合は、データで保存する必要はなく、書面をこれまでと同様に保存すれば問題ありません。
ちなみに、紙をPDFなどデータ化し、そのデータを保存したい場合はスキャナ保存に対応する必要があります。
ただ、スキャナ保存はメリットに対し、デメリットが多いためあまりおすすめしていません。
データ化して電子データも含めて一元管理したい、というような場合は
データ化はしつつも、紙を原本として保存する方がコスト、導入の手間を考慮すると多くの場合、合理的です。
スキャナ保存の詳細やメリット・デメリットを詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
3.電子帳簿保存法 電子保存の要件とは?
電子帳簿保存法、電子保存には下記4つの要件があります。
各要件の項目は以下の通りです。
●真実性の確保
「いずれか」の要件を満たす必要があります。選択するシステムや貴社の希望により選びます。
・認定タイムスタンプの付与
・事務処理規程の作成し運用する
・データを改ざん、削除できないシステムを利用する
・発行者側で認定タイムスタンプを付与●検索性の確保
「すべての」要件を満たす必要があります。
1.日付・金額・取引先で検索ができる。
2.日付・金額は範囲指定検索ができる。
3.任意の記録項目を組み合わせたアンド検索ができる。
4.検索項目について記録事項がない電子的記録を検索できる。●関係書類の備え付け
システムなどの利用方法が分かるよう、その概要を記載した書類(マニュアルなど)を備え付けておく。
●見読性の確保
ディスプレイやプリンターを使って、書類の内容が画面または書面で確認できる。
4.電子帳簿保存法 電子保存の要件に対応する方法
前述の通り、電子帳簿保存法 電子保存に対応するためには、4つの要件を満たさなければなりません。ただ、関係書類の備え付けと見読性の確保は、既存のシステムさえ利用すればとくに意識せずとも対応できます。そのため、真実性の確保とカン作成の確保要件を満たすための方法について解説します。
▼真実性の確保要件へ対応する方法
真実性の確保要件に対応するもっとも有名な方法は「認定タイムスタンプを付与する」ことです。
「タイムスタンプ」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また、中には電子帳簿保存法に対応するために、認定タイムスタンプが必須だと勘違いされている方もいます。
ただ、認定タイムスタンプは必須ではなく、弊社では認定タイムスタンプでの対応をおすすめしていません。理由は単純で、認定タイムスタンプを押すためのシステム導入費やランニングコストがかかるからです。
真実性の確保要件に対応するためには、改ざん防止等のための事務処理規程の作成・運用がおすすめです。コストもかからず、早ければその日から対応が可能になります。
事務処理規程の作成・運用をおすすめする理由の詳細や作り方を知りたい方は「電子帳簿保存法の「電子保存」義務化に対応するための事務処理規程の作り方」をご覧ください。
▼検索性の確保要件へ対応する方法
次に対応しなければいけないのが、検索性の確保要件で、要件は以下の通りです。
●日付・金額・取引先で検索ができる。
●日付・金額は範囲指定検索ができる。
●任意の記録項目を組み合わせたアンド検索ができる。
●検索項目について記録事項がない電子的記録を検索できる。
ちなみに、範囲指定とアンド検索は、国税庁のダウンロード要求に応じる場合は不要です。
検索性の確保要件へ対応する方法として、国税庁からはExcelなどで索引簿を作成する方法や、規則的なファイル名を付す方法などが紹介されており、そちらでも対応は可能です。
しかし、発注書・請書のような営業・経理など複数のメンバーが関わる書類の場合、Excelでの対応はルールの徹底や、チェックに多くの手間がかかり、不備を見落とす可能性もあります。
そのため、前述の要件を満たせるシステムを利用するのがおすすめです。
5.電子帳簿保存法への対応はサイボウズ社のkintoneがおすすめ
弊社では、検索性の確保要件を満たすためのシステムとして、サイボウズ社のkintoneをおすすめしています。
kintoneはクラウド型の業務管理システムで、プログラミングの知識は不要、ノーコードでシステムを構築できます。文書保管など何かに特化したシステムではなく、使う企業や業務の内容によって最適なシステム(kintoneではアプリと呼んでいます)を使う本人が作ったり、修正したりできるのが特徴です。
一からシステム構築を依頼するよりも安価で、スモールスタートや利用中の修正も可能なので、より使いやすいシステムを作り上げていくことが可能です。
kintoneは検索性に優れており、改ざん防止等のための事務処理規程を備え付ければ、電子帳簿保存法への対応ができます。
kintoneの特徴や文書管理におすすめする理由の詳細を知りたい方は「kintoneの特徴と、なぜ文書管理システムとしてお勧めするのか」をご覧ください。
6.自社で「発注書・発注請書」を発行する場合のおすすめの方法
発注書や発注請書を自社で発行する場合、
・Excel等で作成
・基幹システムで発行
・kintoneで発行
の3パターンが主に考えられます。
kintoneで発行する場合は別途帳票生成が可能な拡張機能をご用意いただくのが便利です。
必要事項を入力するだけで簡単に発注書が作成できるだけでなく、これまでのフォーマットを維持したい、というようなご要望にも対応ができます。
またkintoneで作成することで、作成=保管となるため、電子帳簿保存法対応のための業務負荷は発生しませんし、個社ごとの紐づけ、事前承認なども容易にできます。
▼kintoneの発注書作成画面例
▼kintoneで帳票生成機能を利用し作成した書面例
確実に「発注書・発注請書」のやりとりをしたい場合は電子契約が便利
電子契約というといわゆる「契約書」にのみ利用するもの、というイメージもあるかもしれませんが
確実に相手方に文書を返信してほしい、という場合にも活用することができます。
発注書・発注請書も該当するのではないでしょうか。
弊社グループ企業であるk&iソリューションズにて開発した「Acrobat Sign 連携プラグイン」を利用すればkintoneで作成した文書を電子契約サービスであるAcrobat Sign側の画面を開くことなく、送信・保管までを実施することができます。
まだ返信を頂いていない電子契約はどれか、複数署名の場合今現在誰にボールがあるのか、を簡単に確認できるほか、
検索性の高さは電子帳簿保存法対応だけでなく、業務においてもメリットを発揮します。
7.受領した発注書などの文書管理には「AI-OCRプラグイン for kintone」の利用がおすすめ
転記作業をOCRに置き換え、さらにkintoneへの保存で文書内データを活用
電子帳簿保存法の検索性確保要件に対応するアプリの作成は簡単ですが、運用には手間がかかります。
とくに、多くの書類を受領している場合は、入力項目の対応に多くの手間がかかるでしょう。
そこで役立つのがAI-OCRです。
そもそも、OCRとはスキャンなどした画像・データのテキストをデータ化する技術のことで、AI-OCRは光学文字認識(OCR)とAI(人工知能)を組み合わせたものです。
AI-OCRについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
参考記事:AI-OCRの活用方法とは?概要や導入のメリット・デメリットなども解説
実際に、AI-OCRプラグイン for kintoneを活用し読み取りをかけた請求書とkintoneに保存されたデータは以下の通りです。
AI-OCRプラグイン for kintoneを活用すれば、検索項目をkintoneに手入力する必要がありません。
業務改善につながるのはもちろん、入力ミスなどを抑えられます。
文書の一元管理にも◎
発行した文書だけでなく、受領した文書もkintoneに保存することで、文書の一元管理を実現できます。
kintoneに顧客マスタや取引先マスタを作成、別途文書保管アプリを用意、それを関連レコードという形で紐づけることで
いつ、だれとどのような文書を交わしたのか一目で確認することが可能になり、日々の管理、部門間のやりとり、引き継ぎなど業務改善につなげることができます。
まとめ
発注書・請書をデータで授受した場合は、電子帳簿保存法 電子保存の対応が必須です。
対応するためには、事務処理規程を備え付けkintoneを利用するのが良いでしょう。
電子保存対応や、kintoneの詳細を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
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