電子帳簿保存法とペーパレス化。勘違いしやすい注意ポイントと対策を解説!
改正電子帳簿保存法の宥恕期間終了まで、あと1年と少しとなりました。また、インボイス制度も令和5年10月にスタートします。書類の電子化の準備はお済みでしょうか。
電子帳簿保存法への対応の一環として「ペーパレス化」を推進したい、とお考えの企業様も多いのではないかと思います。しかし気を付けなければいけないのが、電子帳簿保存法で義務化された「電子取引の電子保存」と任意対応の「スキャナ保存」は対象文書と要件が異なるという点です。
Ⅰ.最終成果物は紙?データ?電帳法の保存要件の分類とは
電子帳簿保存法には下記の図の通り、大きく4パターンの分類があります。同じ国税関係書類であっても、データ保存とスキャナ保存は最終的な成果物が「紙」の場合に適用されます。紙で契約書を送付して紙面上で契約を締結した、見積書を紙で送付した、という場合は、このどちらかに該当します。そのなかで、手元に元の文書データが残っている場合は「データ保存」、手元にデータが無い場合は「スキャナ保存」に該当します。基本的には紙の見積書や請求書を送付する場合はデータ保存に該当することが多く、手元にワードやPDFの文書データが残っていると思いますので、そちらを保存します。紙の文書を相手から受領して電子化する場合はスキャナ保存に該当します。
電子取引は送付・受領にかかわらず、最終的な成果物がデータの場合に該当します。書類をPCで作成し、メール送付するなどの場合です。
よって、いま保存しようとしている書類がどの保存要件に該当するのか?は、最終成果物で判断しましょう。
Ⅱ. 特に気を付けたい「スキャナ保存」と「電子取引」の違い
電子化を検討している文書がどの保存方法に該当するのかを確認しましたが、ここで気を付けたいのが、それぞれの保存要件が異なる、という点です。簡単に言うと、電子取引の保存要件は比較的対応しやすいのに対し、スキャナ保存の要件は専用システムが必要になるなど対応のハードルが高くなっています。
1.電子取引の保存要件
データでやり取り、最終成果物もデータなら下記の要件を満たせばOK。真実性の確保要件を、2番目の事務処理規定の作成で対応し、検索性の確保要件をExcelなどで対応すれば、システムを導入せずとも法令対応が可能です。
2.スキャナ保存の要件
取引先から紙でもらった書類をデータで保存したい、という場合に該当する保存方法がスキャナ保存です。電子取引の保存要件とは異なり、カラー読取など細かく規定されています。こちらの要件に対応するには専用のシステムの導入が必要であるなど、ハードルが高く、書類の保管のためにかなり費用がかかっている場合を除き、無理に対応する必要はありません。
つまり、電子取引のデータは容易に電子保存できるものの、受領した紙データを電子保存しペーパレス化する、というのは意外と難しいということです。しかし、受領した紙データを電子化したい、というご要望は弊社でも多く頂戴しています。どのように対応しているのかみてみたいと思います。
※各要件の詳細については下記の記事もご確認ください。
▶書類の電子化・改正電子帳簿保存法への対応に向け、保存方法の分類を理解する
Ⅲ.「スキャナ保存」は業務改善の一環で対応する
では、紙でもらった書類のペーパレス化はどうしたらいいのでしょうか?対策としては2つです。
- 原本の紙書類は破棄せず、電子化して保存
- 電子契約の導入
ひとつは、本来スキャナ保存の要件に沿って保存しなければいけない書類も、原本が残っていればあくまで紙書類ということになり、電子帳簿保存法の影響は受けませんので、原本を残し、通常の複合機等でスキャンするなどしてデータで保存します。この際、電子取引で受領したデータと同じ場所に保存すると、業務上管理しやすくなります。
ただ、この場合紙の書類が減らないという問題があります。こちらの対策としては、電子契約の導入を進めることで削減可能です。電子契約については下記の記事もご覧ください。
▶電子契約を導入する際、どのような契約文書から始めるのが良いか?
▶電子契約サービスを活用すると、本当にコスト削減につながるのか?
Ⅳ.まとめ
電子帳簿保存法の対応に加え、ペーパレス化も対応していくにあたり、気を付けたいポイントをお伝えしました。スキャナ保存と電子取引の該当書類は混同しやすいので注意しながら、法令対応・業務改善を進めましょう。
ペーパレス化にあたり、システムの導入をする場合、弊社では文書管理システムとしてkintone、電子契約はAcrobat Signをお勧めしています。
kintoneはクラウド型の業務管理システムです。プログラミングの知識は不要、ノーコードでシステムを構築することができます。何かに特化したシステムではなく、使う企業や業務の内容によって最適なシステム(kintoneではアプリと呼んでいます)を使う本人が作ったり、修正したりできるのが特徴です。一からシステム構築を依頼するよりも安価で、スモールスタートや利用中の修正も可能なので、より使いやすいシステムを作り上げていくことが可能です。
Acrobat SignはPDFで有名なAdobe社が提供している電子契約システムです。電子契約というと、捺印の代わりというイメージもあるかもしれませんが、Acrobat Signは承認以外にも様々な機能を有し、工夫次第で様々な業務に活用することが可能です。企業間の契約はもちろん、社内でも雇用契約などにご利用が可能です。
詳しくは下記よりご確認ください。
▶Adobe Signとkintoneを連携して活用するメリット
▶kintoneとは(サイボウズ様のサイトにリンクします。kintoneのご購入は弊社で可能です)
またペーパレス化にあたり、法令対応もポイントになりますが、こちらのサポートも弊社にて行っておりますのでお気軽にご相談ください。
直接ご相談したい、という方はお気軽にお問い合わせください。